The 1975 Summer Sonic 2022ライブレポ(を装った激重感情ぶちまけメモ)


サマソニに行ってきた。

2008年に参戦した以来だから実に14年ぶりだった。

The 1975を観るためだった。

それだけのためにチケット代18,000円以上を払ったけどそんなのはどうでもいいことだった。

The 1975が来るのである。

いくらでも払うに決まっている。

 

本当だったら私は2年前のSUPERSONIC2020で彼らに出会えるはずだった。

でもスパソニはコロナで翌年へと延期になった。

それでも1年間大事にキープしていたチケットは、翌年の延期開催に彼らが出演しないことが分かった後、悲しみのうちに払い戻した。

 

そんなこんなで、2年越しにようやく夢が叶ったのだ。

私にとっては初めてのThe 1975なのだ。

嬉しいなんてもんではない。

 

なのにライブ3日前、私にThe 1975を教えてくれた張本人でもある同行者がコロナ陽性になり、参戦を断念せざるを得なくなった。

彼の報せを受け取ってからまるまる24時間は笑顔を浮かべることができないくらい精神を病んだが、どうしようもないので一人で行くことになった。

誰よりも一緒に彼らのライブを観たかった相手だったから、もう落ち込んで落ち込んでメンタルは大変なことになっていたけれど、とにかく行った。

 

2022年8月20日サマソニDAY1 in 東京である。

 

到着したのが14:30。The 1975が出るのが19:30。

5時間も何するんや。

タイムテーブルをチェックするも、観たいバンドが本当になかったので(もうそもそも知らない人たちだらけ)めちゃくちゃ不安になる。着く前に気づけ。

とは言え、Twitterで落ち込み散らかしている私を心配した友人が、毎年サマソニに行っているという別の友人を紹介してくれていたので、現地ではその方と一緒にマネスキンを観た。

彼はとてもいい人だったし、マネスキンはめちゃくちゃカッコいいライブだったので、だいぶ元気が出た。

オフスプリングを一番楽しみにしている彼とはまたここで別れ、私は大本命に備え、屋台の唐揚げを食べ、レモンハイを飲み、タバコを吸って(普段は吸わないがテンションが上がって酒を飲んだ時はもう吸うしかないぜという気持ちになる)、もうダメだ、行くぞ、行くしかないぞと言い聞かせてアリーナエリアへと突入した。

一つ前に出演していたKing Gnuの最後の3曲くらいを聴き(彼らは良いバンドだとは思うがまったく心が動かなかった、なんせ極度の緊張状態だったため)、終わった瞬間に前へ詰めてなるべく前方エリアへと陣取った。

でも全然陣取れなくてまぁまぁ後ろになってしまった。前後左右キュウキュウの密。数年ぶりの密感。知ったことではない。そんなのが怖かったらサマソニなど来ない。

そして小雨がぱらつき始め、その内わりと真剣に降ってきた。開演まではまだ30分もある。

とにかく濡れるけども仕方ない、周りの皆さんも全員「ここは耐え時」という面持ちでひたすらじっと立ち尽くしてやり過ごしていた。

 

そして始まったのです。

 

セットリスト先に置きます。

1.If You're Too Shy (Let Me Know)
2.Love Me
3.Chocolate
4.Me & You Together Song
5.TOOTIMETOOTIMETOOTIME
6.It's Not Living (If It's Not With You)
7.Paris
8.Happiness
9.Robbers
10.A Change of Heart
11.I’m in Love With You
12.Somebody Else
13.Love It If We Made It
14.People
15.I Always Wanna Die (Sometimes)
16.The Sound
17.Sex
18.Give Yourself a Try

 

神なんか?

 

 

いや、神とか簡単に言うべきではない、言うべきではないけど神セトリなんか?と思いました。

だっていきなりToo Shyから来るって。

私が家で

「Maybe I like you better if you took off your clothes」

って歌ってたら息子が

「ティリティリッ、ティリリリッ」

って合いの手入れてくれるレベルの曲やで。(だからなんや)

 

いや、そんなん、歌うよ。

歌うし叫ぶよ。

そりゃもうそんなん、黙って立って手拍子していられるわけが....。

 

しかもね、Matty(ボーカル)ってライブでスカしてるイメージがあったので、日本なんかのライブで頑張ってくれるのかな、楽しんでくれるのかなっていう心配を勝手にしていたのですが、めっちゃ笑顔なんです。

めっちゃ笑顔だし、声がスーパー良いし、歌が上手すぎるし、初期っぽいモノクロのいでたちや演出がバチバチにいけてるし、もちろん超絶イケメンだし、もう全部すごかった。安定感もすごくて王者の貫禄だった。間違いなく今のバンドシーンのトップを走る人たちのオーラが迸っていた。

途中でカメラの前に陣取ってどアップでどイロケ表情をかましまくるというMattyの女(※Mattyの女とは、Mattyリアコ勢を指します)が全員爆死する一幕もあった。

 

君たちは禁煙なのに俺だけタバコ吸っててごめんね、でも人生ってそういうもんだから、とか言いながら次々にタバコを吸いまくるMatty

2分休ませて、で、その間は君ら同士でおしゃべりでもしててくれ、と言うMatty

未発表の新曲やるけどもし気に入らんくても俺たちの仲なんだから一応笑顔は浮かべながら聞いてくれと言うMatty

持参の魔法瓶からしょっちゅう酒を注いでおちょこでぐい飲みするMatty

 

セクシーなイギリスのアクセント、

汗と雨でびしょびしょのワイシャツ、

声が枯れてきた後半、絞り出すように歌うしゃがれた歌声、

優しい声と、いたずらっぽいかわいい声を自在に使い分けながら、ゆらゆら揺れたりおしゃれにステップを踏んだり、その仕草や佇まいの全て、

フロントマンとして欠けてるものが何一つなかった、完璧だった。

 

私がMatty推しすぎるのでMattyのことばっかり書いているけどもちろんバンド全てが良かった。安定感がすごい、サウンドも完成されているし、言うことがない。

 

前半はキャッチーな曲が続いたけど、Paris以降は浮遊系の曲が多くて、モノクロの映像と天国に誘うような音や歌声とふわふわと踊るMattyの姿が全部合わさって、この世にいないような気持ちになった。
多分あの時間、かなり多くの人が思わず目を瞑って向こう側の世界を漂っちゃったんじゃないだろうか。

Parisが死ぬほど良かったんだけど、I Always Wanna Dieも本当にすごかった。

 

いやもうそんなん言うたら全部良すぎたんですけども...ほんまに...

 

でも私にはMattyがこの世とあの世の狭間をふらついているように見えて、だんだんと心配にもなってた。

この人は文字通りその身と魂を削って音楽活動に向かっているのではないかと思わされて。

ひっきりなしに酒とタバコを摂取する彼の表情に、こちらの心臓がグッとえぐられるような不安を感じたのだ。

彼らが生み出す音楽と、こうして共有されている今のこのライブの空間は奇跡のような産物なんだけど、それが彼の心身を犠牲にした上で成り立っているのだとしたら、私はそれを本当に望んでいいのだろうか、私は安易に「The 1975のライブ超いい!」なんて言ってはいけないのではないか、こういうファンの存在が彼を苦しめて追い詰めているのではないか、みたいなことまで考えてしまい、I Always Wanna Dieを聴きながら、彼がまさに今そう思いながら歌っているのではないか、なんて考えちゃうと辛くなった。

辛くなってるのにその曲を聞いて感動している私ってなんなんだろう、これじゃ初恋の娘をずっと大切に想い続けていた男が同窓会で心ない同級生からあぁアイツ今AV出てるよなんて知らされて動揺しながらもそのAVをネットで検索して見てしまって泣きながら抜いてるようなもんじゃないか、なんという偽善なんだ、と思った。

でもMattyがそのギリギリのところで闘いながら生み出した音楽とこのライブなのだから、やっぱり私も真摯にそれを受け止める、くらいしか、結局日本の辺境のちっぽけないちファンにはそれくらいのことしかできないのだと思ってまた感極まった。

 

最後はまた元気な曲を何曲かやってくれたのだけど、ぎゅうぎゅうづめに疲れたので少しだけ後ろに下がり、スペースに余裕のある場所で思いっきり前後左右に揺れ動きながら誰の目も気にせず好きに自由に踊って歌って叫んだ。

 

いつまでもこの時間が続けばいいのに、って昔はライブでよく思った。

でも今はもう39歳の立派なおとななので、そういうことは思わなくなった。

いつかは終わるものだし、「次」も来ないかもしれない。

でもそれをちゃんと分かっていて、その中で精一杯楽しむことも可能なんだということを学んだと思う。

 

学んだはずだけど、このライブは本当に良すぎて、自分の記憶の追体験だけではどうにもできなかった。

YouTubeで個人撮影の動画を何本も観てしまったけど、やっぱり私があの場で感じたあの圧倒的な感動には程遠くて、どうしていいか今は分からない。

あんなにすばらしい時間を、たった一度きりのあの場でしか味わうことができないなんて、なんて人生は不便なのだろうか。

分かってるんだけど、だからこそライブはすばらしいんだって分かってるんだけど。

 

 

 

クソ重いこと書いてしまいましたね。

想像の30倍の文章量になりましたね。

こんな内容、TwitterにもFacebookにもInstagramにもnoteにも書けないので久しぶりにこのブログを引っ張り出してくることになりました。

 

ありがとうThe 1975。

日本に来てくれて、最高のライブをやってくれてありがとう。

正直、「これが最初で最後の機会になる可能性は高い」という覚悟で観に行ったライブだったし

何らかのトラブルでライブの仕上がりが微妙になるとか、そこまで本腰入れてやってくれないというリスクとかも考えていた。

そういう不安を完璧に払拭してくれた、期待値を大幅に超えたライブだった。

 

しかも来年、日本単独公演するってよ。死ぬしかないやん。

生きていてよかったってこういう時のことだよ。

本当に、来年まで頑張って生きていこうと思う。

 

 

そしてまた、最高の時間を過ごせることを願います。