君

私自身の問題ではない。
だから私がどうこう言うのはお門違いなのは分かってる。
けど、頭が混乱したり、悲しくなったり、不安になったりする。
　
昨日連絡を受けてから今日までは、実際のところ突然のことで実感がなかった。
そもそも、実感なんて沸きようもないのかも知れないけど。
相当参ってるのは分かってたけど、電話で伝わる分だけでは気付けなかった。
けど今日、会って、話をして、じかに触れて、初めて
ようやく事の重大さが理解出来た。
いや、事が重大であるという事実を理解した。
　
昨日、最初の連絡をしてきた時の取り乱した声を何度も思い出す。
思い出話をしながらふと黙り込んで、閉じた目から落ちた涙を思い出す。
電車を降りた後、家へ向かうのが怖いと言って立ちすくんだ時の、私の手の中でかすかに震えていた腕を思い出す。
その度にどうしようもなく不安でたまらなくなる。
あんなに怖がって、打ちのめされて、それでも絶望はするまいと、ギリギリの瀬戸際で必死に何かにすがってるような姿が頭に浮かぶ。
　
私には何もできない。ずっと隣で話を聞く事しかできなかった。
　
「同じような事がここ最近自分の周りで立て続けに起こったから、もうこんなのはたくさんだと思ってたのにどうしてやろう」、と言う。
こんなに優しくて強い子を、どうして神様はまだ苦しめようとするんだろう。
お願いだから、彼に心の安らぎを与えて下さい。